今回は、競馬ファンであれば知っておきたい「クッション値」について詳しく解説します。特に初心者から中級者の方に向けて、この指標が馬のパフォーマンスにどう影響するのか、そして予想にどう活用すればよいのかを分かりやすくお伝えします。
目次
クッション値とは?基本知識 クッション値が高いと?低いと? クッション値と馬のパフォーマンスの関係 クッション値が得意な馬の特徴 過去のレース事例から見るクッション値の影響 競馬新聞からクッション値が得意な馬を見抜く方法 まとめ
クッション値とは?基本知識
クッション値とは、JRAが2020年9月から公表を始めた芝馬場のクッション性(反発力)を数値化した指標です。この値は、競走馬が走行時に芝に着地した際の反発力を表しており、以下のように分類されています:
- 12以上:硬め(乾燥気味)
- 10~12:やや硬め
- 8~10:標準
- 7~8:やや軟らかめ
- 7以下:軟らかめ(湿潤気味)
測定には「クレッグハンマー」と呼ばれる測定器を使用し、2.25kgの重りを45cmの高さから落下させて衝撃加速度を計測します。数値が高いほど馬場が硬く反発力が高く、数値が低いほど馬場が柔らかいことを意味します。
この指標は「含水率」と密接な関係があり、含水率が高くなるほどクッション値は低くなる傾向があります。しかし、クッション値は単に路盤の水分量だけでなく、芝の生育状況や根の張り方なども反映しているのが特徴です。
詳しい情報はJRA公式サイトのクッション値に関するページ(https://www.jra.go.jp/keiba/baba/cushion/)で確認することができます。
クッション値が高いと?低いと?
クッション値が高い場合(硬め)
- 馬場の反発力が強く、スピードが出やすい
- 脚への負担が大きくなる傾向がある
- 末脚を活かしやすく、上がりの速い馬が有利になりやすい
クッション値が低い場合(軟らかめ)
- 馬場の反発力が弱く、馬の脚が沈みやすい
- パワーが必要となるため体力消耗が大きい
- 脚力のある馬、パワフルな馬が有利になりやすい
また、競馬場によってもクッション値の傾向は異なります。札幌・函館などの洋芝を使用している競馬場は、保水量の多いマット層を形成するため、クッション値が低くなる傾向があります。一方、本州以南の競馬場で使用している野芝は、ほふく茎が地表を這うように広がり保水量が少ないため、クッション値は比較的高くなりやすいのが特徴です。
クッション値と馬のパフォーマンスの関係
クッション値は馬のパフォーマンスに大きく影響します。特に注目したいのは以下の点です:
クッション値が高い場合のパフォーマンス
- 瞬発力のある馬が力を発揮しやすい
- 前走で上がり3位以内に入るような末脚の持ち主が有利
- 軽い馬体の馬が走りやすい
クッション値が低い場合のパフォーマンス
- スタミナとパワーのある馬が有利
- 馬体が大きく、踏み込む力のある馬が走りやすい
- 前目の位置取りで進めた馬が有利になる傾向
クッション値が得意な馬の特徴
高いクッション値(硬め)が得意な馬
- 軽い脚さばきで走る馬
- 上がりの速い差し・追い込み馬
- 前走での上がり3位以内の実績がある馬
- 体重が軽めの馬や、体格に対して筋肉質な馬
低いクッション値(軟らかめ)が得意な馬
- 大柄でパワーのある馬
- 高重量条件のレースで好成績を残している馬
- 雨の影響を受けた馬場でも好走する馬
- 前に行って粘れるスタミナのある馬
過去のレース事例から見るクッション値の影響
クッション値が予想に活用できることを示す事例がいくつかあります。
例えば、クッション値が低めの条件では、パワーのある馬が前に行って粘る展開が多く見られます。反対に、クッション値が高めの時は差し・追い込み馬の活躍が目立ちます。
特に注目すべきなのは、同じ「良馬場」でも、クッション値の高低によって展開や好走する馬のタイプが変わることです。以前は単に「良馬場」とされていた馬場状態も、クッション値によってより細かく分析できるようになりました。
有馬記念のように同じコースで毎年行われる重賞レースでも、年によってクッション値が異なり、それが結果に影響している例も見られます。前年と同じ馬が出走していても、クッション値の違いで結果が大きく変わることがあるのです。
競馬新聞からクッション値が得意な馬を見抜く方法
競馬新聞の情報を活用して、クッション値が得意な馬を見抜くポイントをご紹介します:
過去のレース成績と馬場状態を確認
- 競馬新聞の過去のレース成績欄で、馬場状態と併せてクッション値も確認
- 特に好走したレースのクッション値に注目
上がり3ハロンのタイムをチェック
- 上がりの速い馬は、硬めの馬場(クッション値高)で力を発揮しやすい
- 3〜4コーナーから徐々に加速できる馬は、軟らかめの馬場でも適応力がある
脚質と馬体重の推移に注目
- 前走より体重が増えている馬は、軟らかめの馬場に対応できる可能性が高い
- 逆に絞れている馬は、硬い馬場で好走する可能性がある
血統背景も参考に
- 欧州血統の馬は軟らかい馬場への適応力が高い傾向
- 芝重賞を勝った産駒を多く出している種牡馬の産駒は、特定のクッション値で好走する傾向がある場合も
まとめ
クッション値は、馬場状態をより細かく把握できる貴重な指標です。特に同じ「良馬場」でも、クッション値によって馬のパフォーマンスが大きく変わることがあります。
ポイントをまとめると:
- クッション値が高い(硬め)と、末脚のある馬が有利
- クッション値が低い(軟らかめ)と、パワーのある馬が有利
- 競馬場の芝の種類(洋芝か野芝か)によっても傾向が異なる
- 過去の実績とクッション値の関係を分析することで予想精度が上がる
競馬予想において、クッション値を考慮することは、単なる「良馬場」「重馬場」という分類を超えたより深い分析を可能にします。初心者から中級者へステップアップするためにも、ぜひこの指標を活用してみてください。
クッション値という新しい視点を加えることで、これまで見えていなかった馬の特性や好走条件が見えてくるかもしれません。楽しみながら予想の精度を高めていきましょう!
また、最新のクッション値情報を確認したい場合は、JRA公式サイトの馬場情報ページから、各競馬場の当日のクッション値を確認することができます。過去のデータも「過去の含水率・クッション値」から閲覧可能です。
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