【競馬知識】地方競馬のクラス分けを徹底解説!A級B級C級の細分化と昇級条件まで

競馬知識

今回は、「地方競馬のクラス分け」について詳しく解説していきます。

中央競馬の条件戦には慣れ親しんでいても、地方競馬の「A級」「B級」「C級」って何?さらに「C1」「C2」といった細分化されたクラスもあるけど、どういう仕組み?と思ったことはありませんか?

この記事を読めば、地方競馬独特のクラス制度が完全に理解できるようになります。各クラスの細分化、具体的な昇級条件、各地方競馬場ごとの呼び方の違いについて理解できるようにいたしました。

 

地方競馬のクラス制度とは?基本的な仕組み

地方競馬独特のランク制度

地方競馬のクラス制度は、中央競馬の条件戦とは大きく異なる独特のシステムです。簡単に言うと、馬の実力に応じてA級・B級・C級にランク分けされ、さらにその中で細分化されたクラス同士で競走するというものです。

例えば、C級の中でも「C1」「C2」「C3」のように分かれており、C3が最も下位、C1が最も上位となります。これにより、より細かい実力差に対応した競走が可能になっています。

なぜ細分化が必要なのか?

地方競馬がクラスを細分化する理由:

  • より正確な実力判定:大まかなA・B・Cだけでは実力差が大きすぎる
  • 昇級のステップ制:段階的に上位クラスを目指せる仕組み
  • 競走の質向上:実力が拮抗した馬同士でのレース作り
  • 馬主・関係者のモチベーション:細かい目標設定が可能

中央競馬vs地方競馬:クラス分けの違いを比較

【比較表】中央競馬と地方競馬のクラス制度

項目 中央競馬 地方競馬
基本制度 条件戦(獲得賞金ベース) クラス制(実力格付けベース)
区分方法 新馬・未勝利・1勝クラス・2勝クラス・3勝クラス・オープン C3→C2→C1→B3→B2→B1→A2→A1→S級
細分化 なし(同一条件内での実力差あり) 各クラス内で2〜3段階に細分化
昇級条件 一定回数の勝利 成績ポイント制による総合評価
降級 基本的になし(一部例外) 成績不振で細分化クラス内で降級
評価期間 通算勝利数 3〜6ヶ月間の短期成績
最短昇級期間 数ヶ月〜1年 1ヶ月〜3ヶ月

A級・B級・C級の詳細解説と細分化システム

C級(最下位クラス)の細分化

C3級(最下位)

  • 対象馬:地方競馬デビュー馬、長期休養明け馬
  • レベル:中央競馬の新馬戦レベル
  • 特徴:まず勝利を目指すクラス
  • 平均賞金:30〜50万円程度

C2級(C級中位)

  • 対象馬:C3級で勝利を挙げた馬、実績不足の移籍馬
  • レベル:中央競馬の未勝利戦後半レベル
  • 特徴:安定した力を求められる
  • 平均賞金:40〜70万円程度

C1級(C級最上位)

  • 対象馬:C級で安定した成績を残している馬
  • レベル:中央競馬の500万下クラス相当
  • 特徴:B級昇級への最終ステップ
  • 平均賞金:60〜100万円程度

B級(中間クラス)の細分化

B3級(B級最下位)

  • 対象馬:C1級から昇級してきた馬、A級から降級した馬
  • レベル:中央競馬の1000万下クラス相当
  • 特徴:B級での足がかりとなるクラス
  • 平均賞金:80〜120万円程度

B2級(B級中位)

  • 対象馬:B級で一定の成績を残している馬
  • レベル:中央競馬の1600万下クラス相当
  • 特徴:最も競争の激しいクラス
  • 平均賞金:100〜150万円程度

B1級(B級最上位)

  • 対象馬:B級の実力上位馬、A級への昇級候補
  • レベル:中央競馬のオープン特別相当
  • 特徴:A級昇級をかけた激戦区
  • 平均賞金:120〜200万円程度

A級(最上位クラス)の細分化

A2級(A級下位)

  • 対象馬:B1級から昇級した馬、重賞経験のある移籍馬
  • レベル:中央競馬のリステッド競走相当
  • 特徴:地方競馬の上位クラスへの入口
  • 平均賞金:150〜300万円程度

A1級(A級最上位)

  • 対象馬:各競馬場のトップクラスの馬
  • レベル:中央競馬のオープン特別〜G3相当
  • 特徴:重賞出走への最終ステップ
  • 平均賞金:200〜500万円程度

S級(特別級)※南関東4場のみ

  • 対象馬:重賞常連、中央G1経験馬など
  • レベル:中央競馬のG3〜G1相当
  • 特徴:最高峰のクラス
  • 平均賞金:300〜1000万円以上

各クラスの昇級条件と降級ルール

基本的な昇級システム

地方競馬の昇級は「着順点制度」を採用している競馬場が多く、以下のような仕組みになっています:

着順点の配分例:

  • 1着:5点
  • 2着:3点
  • 3着:2点
  • 4着:1点
  • 5着以下:0点

具体的な昇級条件(南関東4場を例に)

C3級 → C2級への昇級条件

  • 評価期間:直近3ヶ月間
  • 必要条件:着順点8点以上 OR 1勝以上
  • 昇級時期:毎月1日付け
  • 補足:デビュー後すぐに好成績なら即昇級も可能

C2級 → C1級への昇級条件

  • 評価期間:直近3ヶ月間
  • 必要条件:着順点12点以上 OR 2勝以上
  • 昇級時期:毎月1日付け
  • 補足:連対率50%以上など安定性も考慮

C1級 → B3級への昇級条件

  • 評価期間:直近6ヶ月間
  • 必要条件:着順点18点以上 OR 3勝以上
  • 昇級時期:4月1日・10月1日(年2回)
  • 補足:大きなクラス変更のため審査が厳格

B級内での昇級条件

  • B3→B2:直近4ヶ月で着順点15点以上
  • B2→B1:直近4ヶ月で着順点20点以上
  • B1→A2:直近6ヶ月で着順点25点以上 + 2勝以上

A級内での昇級条件

  • A2→A1:直近6ヶ月で着順点30点以上 + 3勝以上
  • A1→S級:重賞実績または特別な審査による

降級ルール

降級の条件(一般的な例)

  • 直近6ヶ月間で着順点が基準を下回る
  • 連続して下位着順(8着以下)が続く
  • 出走回数が少なすぎる場合

降級のタイミング

  • 基本的に昇級と同じタイミング(月1回または年2回)
  • 著しく成績不振の場合は臨時降級もあり

競馬場による違い

門別競馬の例(4クラス制)

  • D級 → C級 → B級 → A級
  • 昇級条件:直近20走での成績を総合評価
  • 特徴:北海道独特の評価システム

高知競馬の例

  • C3 → C2 → C1 → B → A
  • 昇級条件:月間成績による即時昇級制
  • 特徴:比較的昇級しやすい設定

地方競馬場ごとのクラス名称一覧

【詳細一覧表】主要地方競馬場のクラス名称と細分化

競馬場 最上位 上位 中上位 中位 中下位 下位 最下位
大井競馬 S級 A1級 A2級 B1級 B2級 C1級 C2級
船橋競馬 S級 A1級 A2級 B1級 B2級 C1級 C2級
浦和競馬 S級 A1級 A2級 B1級 B2級 C1級 C2級
川崎競馬 S級 A1級 A2級 B1級 B2級 C1級 C2級
門別競馬 A級 B1級 B2級 C1級 C2級 D1級 D2級
盛岡競馬 A級 B1級 B2級 C1級 C2級 C3級
水沢競馬 A級 B1級 B2級 C1級 C2級 C3級
金沢競馬 A級 B級 C1級 C2級 C3級
笠松競馬 A級 B1級 B2級 C1級 C2級 C3級
名古屋競馬 A級 B1級 B2級 C1級 C2級 C3級
園田競馬 A1級 A2級 B1級 B2級 C1級 C2級 C3級
姫路競馬 A1級 A2級 B1級 B2級 C1級 C2級 C3級
高知競馬 A級 B級 C1級 C2級 C3級
佐賀競馬 A級 B1級 B2級 C1級 C2級 C3級

特徴的なクラス制度

南関東4場(大井・船橋・浦和・川崎)

  • 最も細分化された7段階制
  • S級は重賞レベルの特別クラス
  • 統一されたクラス名称で分かりやすい

門別競馬

  • 「D級」まである独特の4クラス制
  • 夏季開催に特化した北海道ならではのシステム

兵庫県競馬(園田・姫路)

  • A級もA1・A2に細分化
  • 関西圏の特色を活かした競走体系

地方重賞のグレード分類について

地方重賞の格付けシステム

地方競馬の重賞は、2つの異なる格付けシステムが併存しています:

1. 地方限定重賞(S級表記)

地方競馬専用の重賞グレード:

  • S1級(エスワン):最高格の地方重賞
  • S2級(エスツー):準最高格の地方重賞
  • S3級(エススリー):一般的な地方重賞

特徴:

  • 地方競馬所属馬のみ出走可能
  • 各地方競馬場独自の重賞
  • 中央競馬のG1〜G3に相当する格付け

2. 中央交流重賞(JPN表記)

中央競馬の馬も参加できる交流重賞:

  • JPN1(ジャパンワン):最高格の交流重賞(中央G1相当)
  • JPN2(ジャパンツー):準最高格の交流重賞(中央G2相当)
  • JPN3(ジャパンスリー):一般交流重賞(中央G3相当)

特徴:

  • 中央競馬と地方競馬の所属馬が同一レースで競走
  • 国際的にも認知された格付け
  • より高いレベルの競走が期待される

【比較表】地方重賞の格付け制度

格付け 出走可能馬 代表的なレース 格式 賞金レベル
JPN1 中央+地方 東京大賞典、帝王賞、かしわ記念 最高格 1億円以上
JPN2 中央+地方 アフター5スター賞、マリーンカップ 準最高格 3000万円程度
JPN3 中央+地方 黒船賞、スパーキングレディーカップ 上級 1500万円程度
S1 地方のみ 各競馬場の記念競走 地方最高格 1000万円程度
S2 地方のみ 各競馬場の準記念競走 地方準最高格 500万円程度
S3 地方のみ 各競馬場の一般重賞 地方上級 300万円程度

重賞出走の条件

JPN重賞への出走条件:

  • 基本的にオープンクラス以上(中央競馬基準)
  • 地方競馬からはA1級以上が出走資格
  • 特別推薦制度で下位クラスからの出走も可能
  • 収得賞金による制限がある場合も

S級重賞への出走条件:

  • A1級以上が基本的な出走資格
  • S級馬は無条件で出走可能
  • 下位クラスからの特別推薦もあり
  • 地方競馬場独自の出走条件を設定

代表的な地方重賞レース

JPN1(最高格交流重賞)

  • 東京大賞典(大井・12月):年末の地方競馬最大レース、賞金1億円
  • 帝王賞(大井・6月):夏の王者決定戦、賞金1億円
  • かしわ記念(船橋・4月):春の頂上決戦、賞金1億円
  • JBCクラシック(各地持ち回り・11月):地方競馬の祭典、賞金1億円

JPN2(準最高格交流重賞)

  • アフター5スター賞(大井・5月):賞金3200万円
  • マリーンカップ(船橋・7月):賞金3200万円
  • 報知オールスターカップ(大井・8月):賞金3200万円

JPN3(一般交流重賞)

  • 黒船賞(高知・4月):賞金1600万円
  • スパーキングレディーカップ(川崎・5月):牝馬限定、賞金1400万円
  • エンプレス杯(船橋・4月):牝馬限定、賞金1500万円

S1(地方最高格重賞)

  • 東京スプリント(大井・6月):賞金1000万円
  • 習志野きらっとスプリント(船橋・9月):賞金800万円
  • 浦和記念(浦和・4月):賞金1000万円

交流重賞の意義

地方競馬にとっての意義:

  • 中央競馬との実力比較が可能
  • 地方所属馬の活躍の場
  • 競走レベルの向上
  • ファンの注目度アップ

中央競馬にとっての意義:

  • ダート路線の充実
  • 地方競馬場での経験
  • 賞金獲得の機会拡大
  • 競馬界全体の活性化

実際の昇級事例とパターン分析

パターン1:順調昇級型

例:デビュー馬の理想的な昇級パターン

  1. 3月デビュー(C2級) → 初戦3着で2点獲得
  2. 4月(C2級) → 2戦目1着で5点、計7点
  3. 5月(C2級) → 3戦目2着で3点、計10点 → C1級昇級
  4. 6月〜8月(C1級) → 1勝2着1回で13点
  5. 10月B3級昇級

パターン2:急速昇級型

例:実力のある移籍馬のケース

  1. 中央競馬で1勝クラス実績 → 地方移籍時にC1級から開始
  2. 1ヶ月目 → 2連勝で即B3級昇級
  3. 3ヶ月目 → B級でも好成績でB1級まで一気に昇級
  4. 6ヶ月目 → A2級昇級

パターン3:停滞・降級型

例:実力不足での降級パターン

  1. B1級の馬 → 6ヶ月間で着順点8点(基準20点を大幅に下回る)
  2. 10月 → B2級に降級
  3. さらに成績不振 → B3級まで降級

昇級成功の秘訣

効率的な昇級のポイント:

  1. 適正距離の見極め:馬の特性に合ったレース選択
  2. コンスタントな出走:評価期間内での十分な出走回数確保
  3. クラス特性の理解:各クラスの傾向に合わせた調整
  4. タイミングの重要性:昇級時期を狙った仕上げ

まとめ:地方競馬クラス分けの要点

地方競馬のクラス分けについて詳しく解説してきましたが、要点をまとめると以下の通りです:

覚えておきたい基本事項

  1. 細分化システム:A・B・Cの各クラス内で2〜3段階に分かれている
  2. 着順点制度:成績を点数化して客観的に評価
  3. 定期的な昇降級:月1回または年2回のクラス変更
  4. 競馬場による違い:名称や条件が競馬場ごとに異なる
  5. 段階的昇級:一気に上位クラスに上がるのではなく、ステップアップ制

昇級の基本ルール

短期間での昇級条件:

  • C級内:1〜3ヶ月で昇級可能
  • B級内:2〜4ヶ月程度
  • A級昇級:6ヶ月以上の継続的好成績が必要

昇級に必要な要素:

  • 勝利数よりも安定した成績
  • 評価期間内での十分な出走回数
  • 着順点の積み重ね

中央競馬ファンへのアドバイス

地方競馬を楽しむコツ:

  • まずは各競馬場のクラス名称を覚える
  • 馬の昇級・降級歴をチェックして調子を判断
  • 細分化クラスでの位置関係を把握して実力を測る
  • 昇級条件を知ることで馬の目標や仕上がりを予想

予想に活かすポイント:

  • 昇級初戦は要注意(環境変化の影響)
  • 降級馬は一段下のクラスでは有力候補
  • クラス最上位の馬は昇級への意欲が高い
  • 長期間同一クラスの馬は実力的に限界の可能性

地方競馬の魅力再発見

クラス制度を理解することで、地方競馬の以下の魅力がより深く味わえます:

  • 成長ストーリー:下位クラスから段階的に昇級する馬の物語
  • 実力拮抗のレース:細分化により実現される白熱した競走
  • 予想の醍醐味:昇降級を考慮した多角的な馬券検討
  • 各競馬場の個性:それぞれ異なるクラス制度による特色

 

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